全国からとてつもない額の過払い金が発生して破綻することに。
ところが、過払い金の請求合計額は、破たん後のSFCGの10分の1の財産にすぎないらしいです。
これだけワンマンで悪いことをしていたのに、周りの人たちはどうして止められなかったんでしょうね。
「貧乏人が金持ちを連れてくる」仕組みに自画自賛した社長
(2010年7月10日 MONEYzine)
■「貧乏人が金持ちを連れてくる」仕組みに自画自賛
2010年6月16日、昨年破綻した商工ローンの大手「SFCG」の大島健伸会長が民事再生法違反などの容疑で逮捕された。
SFCGは、数年前の賃貸法改正で、大島会長が国会喚問されるなど、ブラックなイメージが定着していたところ、主要な資金調達先だった、米国のリーマンブラザーズが経営破綻し資金繰りに窮して2009年2月に破綻した。
しかし大島容疑者は、破綻手続き後も会社の資産を個人の資産に付け替えるなど、極めて悪質な財産隠しを行ったとして、特別背任や詐欺再生の罪を問われている。SFCGの創業者であり、超ワンマン体制を敷いていた大島社長は、自ら発案し、高収益の元になった連帯保証人付きの中小企業向け高利ローンを、「貧乏人(融資先)が金持ち(保証人)を連れてくる仕組みだ」と自画自賛していた。
もともと融資先が返済に窮することは織り込み済みで、むしろ金持ちの保証人からどうやって資金を回収するかに力を注いでいた。
手口はさまざまで、生命保険や臓器売買などによる返済を強要するのは当たり前で、中には、保証人の預金口座番号や生命保険の証券番号を、社会保険事務所の職員を装って聞き出そうとするような詐欺的な行為も行っていた。
これは、もし融資先の返済が滞った場合には、保証人の給与や預金、そして生命保険などの証書類も差し押さえるという狙いがある。強引な手口による企業イメージのダウンで日本人の社員が集まらなくなると、中国人社員を積極的に採用して、大島社長自ら、全国の支店に大号令を発して、融資先から徹底的な貸しはがしを行った。
「カネ、カエセ」「モラウマデ、カエラナイ」など片言の日本語を話す、強引な中国人の取り立て手口に、弱い立場の債権者は驚き、返さないと何をされるかわからないと恐ろしくなったという。
■恐るべき「究極のダブル貧困食いビジネス」とは?
SFCGは、債権物件を「ゴミ」と称して、「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の2種類に分類していたという。
燃えるゴミとは、回収可能な債権であり、反対に燃えないゴミとは回収困難な債権を指している。つまり、融資の際には顧客でも、回収時には「分別ゴミ」に過ぎなかったのである。
そういう手口で莫大な利益を上げて、創業者として会社を上場させ、億万長者の仲間入りを果たした大島氏は、超高級住宅街として有名な東京都渋谷区松濤に約350坪で、地上2階地下2階建ての豪邸を保有している。プールやスカッシュのコートを構える、延べ面積1454平方メートルという広さを誇っている。
しかし、強引な取り立て手口と金融法改正で、全国の顧客からとてつもない金額の過払い金の請求が発生して破綻することになる。それまで、大島氏の役員報酬は月額2000万円だったが、破綻間際の2008年8月には、何と9700万円にアップして、過払い金が発生する前に融資先から徹底回収した分をまるまる自分の懐に入れていたのである。
また、所有する豪邸の土地と建物の所有者は大島氏の親族企業で、会社からその企業へ月額1525万円の家賃が支払われていたが、破綻間際になると、3150万円に倍増されて、意図的な資産隠し、そして移動が図られたとみられている。
月々の家賃には、大島氏の飼っている犬のエサ代も含まれており、40万円という、社員ひとりの月給に値するような金額が支払われていた。
全国の顧客からの過払い金の請求合計金額は622億円だが、破綻後のSFCGの財産は10分の1の61億円に過ぎない。破産管財人によると、これまでに確認した債権は約2906億円にも上り、そのうち2670億円が優良資産といわれているが、それを自分の関連会社に無償や格安に譲渡して、資産隠しにはしった容疑に問われて逮捕されている。
特別背任や詐欺倒産の疑いがかかる破綻間際に、これだけの大胆な行為を行うということは、大島氏のワルぶりは年季が入っており、合わせて驚かされるのは、大島氏の暴走に誰ひとりとして異議を唱えられない周辺幹部の無能さである。
今回、大島氏の側近といわれる幹部たちも逮捕されたが、皆月給30万円前後で忠誠を誓っていたという。顧客から法外な利息を吸い上げて、そして社員も薄給でこき使うという、これこそ「究極のダブル貧困食いビジネス」といえるのではないだろうか。
参考資料:『日本経済新聞』(2010.6/23)、『朝日新聞』(2010.6/18、19)、『読売新聞』(20106/11)、『産経新聞』(2010.6/8)
(ビリオネア・リサーチ・グループ)